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2013年2月20日 (水)

ポリーニ バッハ 平均律クラヴィーア第1集

ポリーニ  2008/2009

チェンバロ独奏が好きになれない。 ダイナミックレンジの小さい,芯の無い音に,わたしには聞こえてしまう。 鍵盤楽器なら,進化の極限に達していると思われるスタインウェイがいい。

とは言え,ブランデンブルグ5番は ピアノ協奏曲のような構成だが,昔,オーケストラとピアノの演奏を聴いたことがあって,やはり非常にバランスが悪いと思った。あれは,ピアノで弾いちゃ駄目。

Mac でハイレゾ音楽再生環境を作った わたしは,少しずつ音楽を聴いて行こうと思う。 わたしの趣味範囲は Mozart からで,Bach は音楽の捧げもの,フーガの技法,ブランデンブルグくらいしか知らない。

最近,あまりにも有名なグールド81年盤のゴールドベルグ変奏曲を聞いた。 美しいと思った。 しかしグールドは語り尽くされているし,わたしにこの演奏について書くだけの音楽的教養は無い。と言うより,わたしには音楽的教養は全く無いのだ。

ポリーニのこの盤も,買ったままで, Bach なので封を切らずにいた。
表紙に Bach / The Well-Tempered Clavier 1 と書いてあって不思議に思った。 well-tempered って「機嫌がいい」のかと思ったのだ。 temper を辞書で引くと「楽器を調律する」という意味があった。

この well-tempered は「平均律」と訳されているが,Bachの頃は平均律だったと断定はできないようだ。 最近の研究ではそのまま「適切に調律された」として,24の長短調が演奏できれば,12平均律でなくても良かったのではないかと言われている。

この曲集は,練習曲として書かれたとされている。 だから,Bach以降の作曲家は美しい練習曲を書かざるを得なかった。 練習曲集や前奏曲集がたいてい24曲なのも,この作品が存在するからだと思う。

今年 71才と,演奏家としては晩年を迎えているポリーニ。 わたしはポリーニにピアノ音楽の全てを教わったと言ってもいい。 彼の透徹した演奏が無かったら,ベートーヴェンの後期ピアノソナタが,音楽の頂点だと言うことが理解できなかったと思う。

ポリーニ以前のベートーヴェンの演奏はドイツ的で重厚で重々しいものが多かった。 ポリーニは何の躊躇いも無く作品に光を透過させた。 わたしにでさえ,作品がよく見えるようにしてくれたのだ。

グールドは美しい,彼は演奏を作曲していた,と言っていいと思う。 ポリーニも美しい。 もし Bach がポリーニの演奏を聴いたとしたら,まずスタインウェイの音量とダイナミックレンジに腰を抜すだろう。 しかし,Bach は自分の意図した音楽が完璧に演奏されていることに感激し,涙を流してポリーニを抱きしめるのではないか。

ポリーニの音は異常に美しい。 第一曲が始まると,空から光が降ってくるのが見えた気がした。

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コメント

私の持っている「平均律クラヴィーア」はグールド盤です。でもグールドは、ピアニストとしては実は演奏スタイルもレパートリーもちょっと(ところによっては大分)変わった人だと思います(別にハミングするとか、あの弾き方のせいばかりではなく)。モーツァルトとか、暴走してますし(笑)。モーツァルトがお好きなら、ピアノソナタはグールドではないものをおススメします(笑)。いや、私はグールドは好きなんですけど。

投稿: ニヤリ本舗 | 2013年2月20日 (水) 13:13

グールドの平均律は全曲ではないですよね。 全曲弾いていて買ってもいいかなと思うピアニストはリヒテルくらいかなぁ。 ぢつは,グールドの平均律は半分オルガンで半分ピアノの盤が明日届くはず。 (たぶん,ニヤリさんが持ってるのと同じ。)

結構,ポリーニも歌ってますよ。 あんなに大声じゃないけどね。 モーツァルトのピアノソナタは持って無いです。 ロンド イ短調 K.511(バックハウスで聞いた)のような素晴らしいピアノ曲もあるんですけどね。 ピアノ協奏曲は少し持ってます。

少なくとも,あのゴールドベルグを聞かされると,世の中にグールド好きが溢れている(ような気がする)のも頷けます。 絶対にあのタイプのピアニストは現れないでしょう。

ポリーニ・タイプも現れないような気がする。 技術的には追い着く人が出てくるかも知れないけど,あれだけ考え抜いて絶妙なバランスで明晰に弾いて,なおかつステレオタイプな言い方だけどイタリア人らしく,歌うんですよね,ピアノが。

投稿: ま〜く | 2013年2月20日 (水) 20:32

え??
私の持っているグールドの「平均律クラヴィーア」は全曲録音で全曲ピアノバージョンですが? これとは別のダイジェスト版CDもあるということなんですか? ちまたではリヒテルとならんで双壁と言われているらしい全曲録音です。
そしてグールドの場合は、ハミングが度を超えているというか、CDに注意書きがあるくらいですし(これはグールドが歌っているだけで不具合とかじゃないですよ、みたいな)。バッハ弾きとしては、あのゴールドベルクを含めてすごいと思います。それだけに何でモーツァルトとかベートーヴェンは普通に弾けないのかと(笑)。まあバッハの演奏だって普通とは言えないかもしれなせんけど。

投稿: ニヤリ本舗 | 2013年2月21日 (木) 14:05

ご,ごめんなさい,勘違いでした。

全曲盤が無いのは「フーガの技法」でした。 さっき届きました。 フーガの技法,全曲ピアノで残して欲しかったなぁ。

リヒテル名演集という2枚組も買っちゃいました。 59〜62年の録音なので,一番充実した時期ではないかと。

しかし,聞く暇あるんだろうか。 sweat01

投稿: ま〜く | 2013年2月21日 (木) 14:18

あ、フーガの技法でしたか。
グールドはまだ比較的若いうちに急死しているので、コンプリートしていないものが結構あるんですよね。残念。
そして、聴きたいものがたくさんあるというのはいいことじゃないですか。ゆっくり暇を見てお楽しみください。

投稿: ニヤリ本舗 | 2013年2月21日 (木) 19:50

ベートーヴェンは作曲家人生をコンプリートしたように思います。

リヒテルのフーガの技法も確か無いはず。 ポリーニ,フーガの技法を弾いて欲しいなあ。

西洋音楽史は余りにも長く膨大過ぎます。 たぶん,これからは ピアノ曲,歌曲,ミサ曲 を中心にポツポツと聞いてゆくかとおもいまふ。

投稿: ま〜く | 2013年2月22日 (金) 00:35

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