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2011年7月25日 (月)

Shadow Divers / Robert Kurson

Amazon US で星5つだったので買ったノンフィクション。 深い海の話は好きだし。

米国には wreck diving というスポーツ(死の危険が高過ぎるので冒険だと思う)があって,主に第1次,第2次世界大戦に沈没した船(軍艦だけでなく商船もある)に潜って,そこから古い皿を宝探ししたり,その船の identity を確認する。

Bill Nagle という天才が現れて,それまではせいぜい40mだった潜水深度を一気に破って60m以上まで潜って行き,数々の沈没船を発見し同定する。 しかし,Bill Nagle は常に Jim Beam(バーボン)を飲んでいる。 Nagle は wreck diving 専用の Seeker というチャーター船を作り,New Jerseyでダイバーを乗せて商売を始める。

Nagle を尊敬する Jack Chatterton という男がいる。 彼は Legend である Nagle と行動を共にするのだが,既に酒飲みの Nagle より実力がある。 ある日 Nagle は Chatterton に向かって,最大の賛辞としてこう言う。

"When you die no one will ever find your body."
お前が死んでも誰も見つけられないな → 誰もそこまで潜れない

Nagle はある日,仲間の船長から交換条件で,ある緯度・経度を教えてもらう。

話は 1991年に始まる。 60m以上の深さのその場所に沈没していたのは,米国にもドイツにも全く記録のない U-Boat だった。

ま〜くは New Jersey の海は見たことがあり「えっ,こんなところまで U-Boat は来ていたのか」と思った。 New Jersey は New York の隣と言うか,ちょっと下。

更に,かつては Chatterton と反目していた,ドイツ系の Richie Kohler が加わる。二人はやがて親友になるのだが,この U-boat の identity を突き止めるために,執念というよりも取り憑かれたような探求を始める。 それは実際のダイビング(年に何回もできるわけではない)だけでなく,ありとあらゆる公文書,生き残ったUボートの艦長,そしてドイツまで行って調査する。

窒素酔いと減圧の話が丁寧に説明されていて,まだヘリウムガスは使われていないのかと思ったら,民間で実用にされはじめたのは 1992年で,しかもそれを売るダイビングショップは無く,Chatterton は爆発覚悟で,trimix と呼ばれる,酸素,ヘリウム,窒素の混合気体のタンクを準備する。

障害につぐ障害,それでも二人は諦めず,最後に Chatterton が考えついた常軌を逸した方法とは? その結果は?

U-Boat は1,167隻作られ,戦争初期には莫大な戦果を挙げるが戦争末期には,連合国側がエニグマの暗号をクラックしてしまったことと,レーダーやソナーの発明により,逆に追われる立場になる。 戦争末期の U-Boat は帰って来なかった。

ここに沈没していた U-Boat も乗組員 56名のうち 24名が10代である。 船長も副長も,これが一種の特攻隊であることを知っていた。 ドイツでのインタビューに基づいて,出撃してゆく U-Boat の乗組員について書かれているのも興味深い。

Chatterton ら米国人ダイバーが,命令を受けて国を守った兵隊だったとして,遺体(バラバラになった骨だが)の尊厳に配慮して,骨に絡みついていた服のポケットなどには絶対に触れない(そこに喉から手が出るほど欲しい情報があるかもしれないが)という態度を取るのが素晴らしい。

息詰まるような と言うよりは,とても丁寧に書かれたノンフィクションだと思った。

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